ドーベルマン
護衛犬としてドイツで作られた犬種。学習速度が非常に速く飼い主への執着も強い。拡張型心筋症のリスクが高く、定期的な心臓検査が事実上必須になる。
- 体重
- 27–45 kg
- 寿命
- 10–13 年
体重と寿命は犬種ガイドの参考範囲です。性別・系統・個体によって異なり、愛犬の適正体重や寿命を予測するものではありません。性格や世話の負担は、本文と実際の犬の生活歴を合わせて確認してください。
犬種の背景と特徴
十九世紀末、ドイツ・テューリンゲン地方で税務吏だったカール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマンが、自分の身を守る犬を求めて作出したと伝えられる。複数の犬種を短期間で掛け合わせて完成させたため、目的が明確なぶん結果もはっきりしている。状況を素早く判断し、飼い主と強く結び付き、人の指示を驚くほど早く覚える。
その後警察犬・軍用犬として使われる中でこの性質はさらに磨かれた。現在のドーベルマンは初期よりずっと穏やかに改良されているが、警戒心と人への強い執着は今も犬種の芯にある。
運動と遊び
運動は一日一時間半から二時間、うち半分以上は心拍数が上がる内容にしたい。ただしこの犬種では体より頭を使う時間のほうが効く。トレーニング自体を遊びとして受け取る犬種なので、十〜十五分の練習を一日二、三回入れるほうが、散歩を三十分延ばすより満足度が高い。
服従訓練、ノーズワーク、アジリティのようにルールのある活動が向く。覚えが早いということは悪い習慣も早く覚えるということで、生後半年までに何を許すかを家族で決めておきたい。
被毛と日常のお手入れ
被毛の手入れはほとんど負担にならない。極めて短い被毛でトリミングは不要、週一回撫でる程度で足り、抜け毛も多くない。その代わり正反対の問題がある。
下毛がほとんどなく体脂肪も少ないため寒さに非常に弱い。日本の冬、特に東北や北海道では散歩用の防寒着は贅沢品ではなく必要な装備である。皮膚も薄く擦り傷や接触性皮膚炎を起こしやすいので、シャンプーは低刺激のものを選びたい。
健康面で確認すること
健康の話でこの犬種を語るとき外せないのが拡張型心筋症である。心筋が伸びてポンプ機能が落ちる病気で、ドーベルマンの発症率は他犬種と比較にならないほど高い。初期はほとんど症状が出ないまま突然崩れることがあるため、中年期からは毎年の心エコーと二十四時間ホルター心電図が推奨される。
血が止まりにくいフォン・ヴィレブランド病も知られており、手術や抜歯の前には凝固系の検査を依頼しておきたい。首の脊椎の問題で歩様がふらつくウォブラー症候群や股関節形成不全も報告がある。
迎える前に確認すること
初心者が最も見落とすのは分離不安だ。ドーベルマンは飼い主を影のように追う犬で、一人の時間が長いと吠え、壊し、自分を傷つけるところまで進むことがある。一日八時間以上家を空ける生活には向かない。
気質は繊細で強い叱責には萎縮するため、褒めて教える方法のほうが結果がよい。日本の集合住宅では吠えが少なく意外に静かな隣人になるが、四十キロ近い犬とエレベーターに同乗する住人の負担は現実として存在する。日本で特定犬などに指定される自治体もあるので、飼う前に自治体の条例を確認しておきたい。
狭い空間で足元に座らせる練習と短いリードの習慣は、それだけで多くの摩擦を減らしてくれる。夏は黒い被毛が熱を吸収しやすく日中のアスファルトで体温が急に上がるため、散歩は早朝と夜に移すのが安全である。