ロットワイラー
牛を追い主人の売上金を守っていたドイツ原産の犬種。落ち着きがあり覚えも早いが、五十キロを超える力を扱う必要がある。関節疾患と骨腫瘍、そして寿命の短さが正直な代償になる。
- 体重
- 35–60 kg
- 寿命
- 9–10 年
体重と寿命は犬種ガイドの参考範囲です。性別・系統・個体によって異なり、愛犬の適正体重や寿命を予測するものではありません。性格や世話の負担は、本文と実際の犬の生活歴を合わせて確認してください。
犬種の背景と特徴
ローマ軍団がアルプスを越える際に連れていた牧畜犬の子孫とされ、ドイツ南部の町ロットワイルに定着して犬種名を得た。この土地の食肉商が牛を市場まで追わせ、売り上げの入った財布を犬の首に掛けて家まで持ち帰らせたという話が犬種名とともに語り継がれている。牛を追うには落ち着きと自分で判断する力が要り、金を守るには初対面の相手をすぐには信用しない態度が要る。
この二つが今のロットワイラーの気質をそのまま説明している。家族の中では驚くほど穏やかで愛情深いが、初対面の人には距離を置いて様子を見る。後に警察犬や災害救助犬として活躍したのも、この落ち着きゆえである。
運動と遊び
成犬の運動は一日一時間から一時間半で足りる。爆発的に走る犬種ではないので、一定の速度で歩く散歩、緩やかな坂道、山歩き、重りを引く遊びなどが向いている。むしろ気をつけるべきは成長期のほうだ。
骨が太く重く育つ犬種なので、生後十二〜十八か月ごろまでは階段の上り下り、硬い床への飛び降り、長距離のランニングを控えたほうが関節に優しい。頭を使う時間も必要で、短い服従訓練やノーズワークを毎日入れると室内での落ち着きがまるで違ってくる。
被毛と日常のお手入れ
被毛は短いがダブルコートのため、見た目より抜け毛は多い。普段は週一〜二回のブラッシングで足り、春と秋の換毛期は毎日梳かさないと室内が追いつかない。トリミングは不要である。
垂れ耳で通気が悪いので、水遊びやシャンプーの後は耳の中を確認して乾かす習慣をつけると外耳炎を減らせる。
健康面で確認すること
健康面では関節と腫瘍を併せて見ておきたい。股関節・肘関節の形成不全が多く、後肢の十字靭帯断裂もよく起きる。さらに骨肉腫という骨の腫瘍の発生率が他犬種より高いと報告されている。
数日たっても治らない跛行は捻挫と決めつけず、レントゲンを撮ってほしい。大動脈弁下狭窄という先天性の心疾患や、胸の深い大型犬に共通する胃捻転にも注意が要る。食事は一度にまとめず分けて与え、食後すぐの激しい運動は避け、腹部が張って空えずきをする場合はすぐ受診する。
平均寿命が大型犬の中でも短めである点も、迎える前に受け入れておきたい現実だ。
住環境と世話の計画
日本で飼う場合は、まず住まいと自治体の条例を確認したい。自治体によっては大型犬や特定犬として届出や飼育方法の基準が定められていることがあり、賃貸物件では体重制限で受け入れられないことも多い。集合住宅で飼うこと自体は可能で、室内では静かで吠えも少ないが、エレベーターや共用廊下で他の住人と接する場面が毎日発生する。
脚側について歩くこと、座って待つことを完璧に仕上げておくのは事実上必須である。夏は黒く厚いダブルコートが日射を吸収して体温が上がりやすく、体が大きいぶん一度上がった体温は下がりにくい。梅雨明けから九月までは日中の散歩をあきらめ、早朝と夜に移すのが安全だ。