ブル・テリア
卵型の頭部で知られる英国原産の犬種。陽気で人に強く執着する一方、力が強く頑固な面もある。尾追いなどの常同行動と、白毛個体に見られる先天性難聴は事前に知っておきたい。
- 体重
- 22–38 kg
- 寿命
- 10–14 年
体重と寿命は犬種ガイドの参考範囲です。性別・系統・個体によって異なり、愛犬の適正体重や寿命を予測するものではありません。性格や世話の負担は、本文と実際の犬の生活歴を合わせて確認してください。
犬種の背景と特徴
十九世紀の英国で、ブルドッグ系とテリア系を掛け合わせて生まれた犬種である。当初は闘犬として使われたが、その後ジェームズ・ヒンクスらのブリーダーが白い被毛と均整の取れた体型を目指して作り直し、気質も大きく変わった。現在のブル・テリアは闘争心よりも人のそばにいたがる性質が前面に出ている。
とはいえ当時から受け継いだ筋肉量と、一度こうと決めたら押し通す頑固さは残っており、体格の割に扱いには力が要る。横から見て緩やかに下がる卵型の頭と三角形の小さな目が、この犬種だけの特徴である。
運動と遊び
運動は一日一時間から一時間半が目安になる。ただ長く歩くより、引っ張り合いの遊び、短い全力疾走、新しい指示を覚えるトレーニングなど集中度の高い内容のほうが向いている。体をぶつけて遊ぶのが好きな犬種で、興奮すると肩で人を押したり飛びついたりする。
子犬のうちに力加減の線引きを教えておかないと、三十キロを超えてから直すのははるかに難しい。
被毛と日常のお手入れ
被毛の手入れはこの犬種で最も楽な部分だ。極端に短く硬い被毛でトリミングは不要、週一回ラバーブラシで撫でれば足りる。ただし短い毛が年間を通じて少しずつ抜け、春と秋には目に見えて増える。
皮膚は繊細でアレルギー性皮膚炎や接触性の発疹が出やすいため、シャンプーの頻度を上げすぎず低刺激の製品を選びたい。特に白い個体は皮膚が薄く色素が少ないので、夏の紫外線で炎症を起こすことがある。
迎える前に確認すること
初心者が見落としやすい点が二つある。一つは常同行動だ。この犬種は自分の尾を追ってぐるぐる回る行動が病的なレベルまで進む例が目立って多い。
退屈やストレスから始まり習慣として固まると戻すのが難しいので、回る様子が見えたら笑って済ませず刺激を増やし、獣医師に相談してほしい。もう一つは難聴である。白毛の遺伝子に関連した先天性の聴覚障害があり、片耳だけの場合は飼い主が気づかないまま過ごすこともある。
迎える前にBAER検査の有無を確認するとよい。ほかに遺伝性の腎疾患と心臓弁の問題があるため、定期健診では尿検査と心音の確認を頼んでおきたい。
住環境と世話の計画
日本で迎える場合に現実的な論点は二つある。一つは大型犬可の住宅を確保できるかだ。三十キロ前後になるため、ペット可でも体重制限のある賃貸物件では受け入れられないことが多く、契約前の確認が欠かせない。
もう一つは夏である。マズルがやや短めで完全な短頭種ほどではないにせよ暑さに弱く、興奮すると自分で止まらない。湿度の高い七月から九月は日中の散歩を切り上げ、早朝と夜に移す。
集合住宅ではエレベーターや共用廊下で他の住人と接する場面の制御を、あらかじめ練習しておくと安心できる。