アイリッシュ・ウルフハウンド
オオカミやシカを追うためにアイルランドで作られた、犬種の中で最も体高の高いサイトハウンド。室内では驚くほど静かですが、寿命が6〜8年と短く、日本では飼育環境も入手経路も限られます。
- 体重
- 48–70 kg
- 寿命
- 6–8 年
体重と寿命は犬種ガイドの参考範囲です。性別・系統・個体によって異なり、愛犬の適正体重や寿命を予測するものではありません。性格や世話の負担は、本文と実際の犬の生活歴を合わせて確認してください。
犬種の背景と特徴
アイリッシュ・ウルフハウンドは、アイルランドでオオカミやアカシカを目で追って捕らえるために使われてきたサイトハウンドです。獲物がいなくなると数を減らし、19世紀に残存個体へディアハウンドやグレート・デーンを交配して現在の姿に再構成されました。短時間だけ全力で走り、あとはひたすら休むという働き方をしてきた犬なので、一日中動きたがる牧羊犬とは性質がまったく違います。
室内では大型犬とは思えないほど静かで、来客にも愛想がよすぎて番犬にはなりません。
運動と遊び
成犬の運動は1日1時間ほどで足りますが、量よりも中身が重要です。週に何度かは囲われた安全な場所で思い切り走らせてください。リードでの散歩だけでは体が固まり、落ち着きがなくなります。
逆に成長期は運動を減らす時期です。最終的に60kg近くになる犬は骨の成長が長く続くため、1歳半頃までは階段の上り下り、繰り返しのジャンプ、滑る床での急発進を避けてください。また視覚で獲物を追う本能が強く、遠くで動くものを見つけると呼び戻しが効かないため、囲いのない場所でリードを外す判断はしないほうが安全です。
被毛と日常のお手入れ
被毛は硬く粗いダブルコートで、週1〜2回しっかりブラッシングして抜け毛を取れば十分です。トリミングは不要で、必要に応じて手で抜いて整える程度です。手間なのは口ひげで、水や食べ物を含んだまま室内を歩くため、食後に顔を拭く習慣をつけておくと床が助かります。
迎える前に確認すること
見落とされやすいのは寿命と病気です。期待寿命は6〜8年で、拡張型心筋症と骨肉腫がこの犬種の主要な死因です。胸が深いため胃拡張胃捻転のリスクも高く、若い個体では門脈体循環シャントも報告されています。
食事は1日2〜3回に分け、食後1時間は激しい運動を避けてください。心臓は症状が出る前に見つける必要があるので、成犬になった時点から年1回の心臓検診を予定に入れておきましょう。薬も麻酔も体重に比例して費用が上がる点も計算に入れてください。
住環境と世話の計画
日本では、まず飼える住居を確保できるかが最初の関門です。大型犬可の賃貸物件は限られ、マンションのエレベーターでは犬がほぼ通路を塞ぎます。フローリングは関節に直接響くので、動線にマットを敷いてください。
夏も大きな課題です。体が大きいほど熱が逃げにくいため、高温多湿の時期の日中の散歩は避け、早朝か夜に移してください。加えて国内の頭数がごく少なく、迎えるには限られたブリーダーか輸入に頼ることになる点、大型犬に対応できる動物病院やペットホテルが近くにあるかどうかも先に確認しておくべきです。