イングリッシュ・マスティフ
イギリス由来の超大型番犬で、オスは100kgに達することもあります。室内では一日の大半を寝て過ごすほど穏やかですが、成長期の関節管理、体重に比例する費用、短い寿命を先に計算しておく必要があります。
- 体重
- 54–100 kg
- 寿命
- 6–10 年
体重と寿命は犬種ガイドの参考範囲です。性別・系統・個体によって異なり、愛犬の適正体重や寿命を予測するものではありません。性格や世話の負担は、本文と実際の犬の生活歴を合わせて確認してください。
犬種の背景と特徴
イングリッシュ・マスティフは、長くイギリスで屋敷や家畜を守ってきた超大型のモロサス系犬種です。二度の世界大戦で本国の頭数がほぼ失われ、少数の生き残りと北米から戻した血統で再建された歴史があり、遺伝的な幅が広くない点は健康の話をするうえで前提になります。番犬とはいえ前に出て攻撃するタイプではなく、その場に立ちはだかって動かないことで守る犬です。
家族に対しては動きが遅く穏やかで、強い叱責や力ずくの矯正には非常に弱く、一度怖がると立て直すのに時間がかかります。
運動と遊び
運動量は本当に少なめです。成犬なら1日2回、20〜30分ほどの平坦な散歩で足ります。むしろ運動のさせすぎが問題を作ります。
生まれたときは1kg前後だった子犬が18か月で70kgを超えることもあり、その速度で伸びる骨に階段の反復や飛び降り、滑る床が加わると関節が持ちません。最初の1年半は運動を増やす時期ではなく制限する時期だと考えてください。
被毛と日常のお手入れ
被毛は短いものの体の表面積が広く、抜ける毛の総量は決して少なくありません。週1〜2回ラバーブラシでこすり、顔のしわと垂れた口の内側は毎日拭いて乾かします。よだれはこの犬種を選ぶときに最も現実的にぶつかる問題で、水を飲んだあと頭を振れば壁の高い位置まで飛びます。
健康面で確認すること
健康上の問題は体格から来ます。股関節・肘関節形成不全、拡張型心筋症、眼瞼内反・外反、骨肉腫などの腫瘍、そして大型犬の中でもリスクの高い胃拡張胃捻転が代表的です。麻酔に敏感な傾向があるため、避妊去勢や歯科処置も超大型犬の経験がある病院で相談すると安心です。
寿命は6〜10年と短めです。
住環境と世話の計画
日本の住宅事情では、まず大型犬可の物件を確保できるかが最初の関門です。加えてフードや薬の費用は体重に比例し、100kg近い犬を扱えるリフト台や大型ケージのある動物病院は地域によっては限られます。滑るフローリングは体重がそのまま関節に乗るので、犬の動線には必ずマットを敷いてください。
夏はマズルが短く体が厚いぶん熱がこもるため、日中の散歩をやめて冷房を維持します。動けなくなったときに車まで運ぶ方法と、乗せられる車を先に決めておくことも現実的な準備です。