ヨークシャー・テリア
体重2~3kgの超小型犬ですが、もとは工場のネズミを狩っていたテリアです。抜け毛はほとんどありませんが毛が伸び続けるためトリミングが欠かせず、気管虚脱と膝蓋骨脱臼の管理が生涯続きます。
- 体重
- 2–3.2 kg
- 寿命
- 13–16 年
体重と寿命は犬種ガイドの参考範囲です。性別・系統・個体によって異なり、愛犬の適正体重や寿命を予測するものではありません。性格や世話の負担は、本文と実際の犬の生活歴を合わせて確認してください。
犬種の背景と特徴
ヨークシャー・テリアは19世紀のイギリス北部、ヨークシャー地方の紡績工場や炭鉱でネズミを捕るために作られた小さなテリアです。膝の上の愛玩犬という印象が定着していますが、出発点は働く犬であり、その気質は今もほとんど変わっていません。3キロに満たない体で自分の何倍もある犬に先に吠え、窓の外を通る猫や鳥をいつまでも見張ります。
小さいからという理由で運動と訓練を省くと、そのエネルギーがそのまま無駄吠えと執着行動に変わります。
運動と遊び
運動は20~30分の散歩を一日二回で足ります。ただし距離よりも、においを嗅ぐ時間のほうが大切です。歩幅が小さいので人から見ると物足りなく思えますが、植え込みを鼻で丹念にたどる15分はこの犬にとって十分な運動であり、頭も使います。
雨の日は室内でおやつを隠して探させたり、ノーズワークマットを使えば散歩一回分の代わりになります。逆に階段の上り下りやソファから飛び降りる動作は運動として数えず、むしろ減らすべきものです。
被毛と日常のお手入れ
手間の中心は被毛です。ヨーキーの毛は人の髪に近い構造で抜け毛はほとんど床に落ちませんが、その代わり伸び続けます。床に届く長さを保つなら毎日のブラッシングと巻き毛の保護が必要で、実際には多くの飼い主が3~5センチほどのサマーカットやテディベアカットで維持しています。
短く刈っても4~6週に一度はトリミングサロンが必要で、その間も週に二、三回は耳の後ろやわきの毛玉をほぐします。涙やけ、耳の中の毛、足裏の毛の手入れも加わります。抜け毛が少ないことは、手がかからないことを意味しません。
迎える前に確認すること
初めて飼う人が見落としがちなのが首輪です。この犬種は気管が押しつぶされる気管虚脱が多く、リードを引くたびに気管へ直接圧力がかかります。ガチョウの鳴き声のような乾いた咳が出はじめたときには進行していることが多いので、最初からハーネスを使ってください。
膝蓋骨脱臼も多く、フローリングで滑る生活と高い場所から飛び降りる習慣が重なると、若いうちから手術の話になります。あごが小さく歯が密集しているため歯石がつきやすく、歯みがきをしないと中年期には抜歯が始まります。人への依存が強いので、留守番が長い家庭では分離不安と留守中の吠えが起きやすい点も見ておいてください。
住環境と世話の計画
日本の住宅事情ではサイズの面でまず困ることはなく、マンションでも問題になるのは声のほうです。廊下の足音やインターホンに反応して吠える習慣がつくと近隣トラブルに直結するので、子犬のうちから生活音に慣らしておくほうが確実です。フローリングは膝に負担がかかるため、犬が走る動線にはマットやカーペットを敷いてください。
夏は体高が低く、アスファルトの照り返しを人よりはるかに強く受けます。日中の散歩は避け、早朝か日没後に切り替え、手の甲を地面に5秒当てて熱ければその日は室内遊びにしましょう。冬は体が小さいぶん体温を失いやすく、服は飾りではなく実用品になります。